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Clarity 古屋さんと、女性の働き方や多様性人材採用についてのお話

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女性起業家の古屋さんにご出演いただきHerokuのスタートアッププログラムについてや、女性起業家としての軌跡を語っていただきました。 Clarity


ショー・ノート

  • 古屋さん自己紹介
  • Salesforce/ Herokuに出会ったきっかけやスタートアッププログラムについて
  • Clarityのサービスご紹介
  • 起業の背景
  • 起業の過程での苦労やご経験
  • Clarityをサービスとして展開された原体験や背景
  • ダイバーシティの取り組みについてのトレンド
  • 女性のライフステージとキャリア形成
  • 働き方の変化や、サスティナブルに働くことの大切さ
  • 今後実現されたいこと

トランスクリプト

細谷: 私は、スタートアップ戦略部の細谷優希です。このエピソードは、Heroku In the Wildがテーマです。今回はゲストとして、株式会社 Clarityの古屋さんをお迎えしてお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

古屋: よろしくお願いします。

細谷: では早速ですが、古屋さんの自己紹介をお願いいたします。

古屋: 皆さんこんにちは。株式会社Clarityの古屋聡美です。私の簡単な自己紹介なんですけれども、2010年に成城大学を卒業して、在学中は一年間、サンディエゴ州立大学というところに一年留学をしていました。卒業後は1社目、外資系の会計コンサルティング会社でアメリカ人の公認会計士の社長秘書をしながら、コンサルティングのアシスタントをしていました。

古屋: いろんな海外の企業様が、日本の市場に参入する際の支援を、本当に会社の登記から、バックオフィス全部整えたりとか、採用、オフィス探したりとか、何でもやるような面白い仕事をしていました。

カルチャーのブリッジングをするのが凄い好きだったので、そういった外国人のクライアントさんに、もっとブランディングとかマーケティングの支援もしたいなというところで、外資系の広告代理店ビーコンコミュニケーションズというところに転職をしまして、アカウントエグゼクティブとしてP&Gとかフィリップモリスさんのブランディング、ブランドキャンペーンをATLからBTLまで幅広く、プロジェクトを廻していました。

元々起業したいという思いがあったので、28歳で独立しまして、2年間ぐらいはあのーフリーランスとして色んなスタートアップのマーケティングとかブランディングとか、そういったことの支援をした後に、2018年の1月に株式会社Clarityを設立しました。

細谷: ありがとうございます。幅広くグローバルで活躍されていたご経歴がある古屋さんなのですが、次にHerokuとの出会いもお話、お願いできますでしょうか。

古屋: 恐らくこのラジオにご出演されている開発者の皆様、聞いていらっしゃる皆様と違って、私は全く非エンジニアでして、スタートアップを立ち上げたいって思いだけでこう走っているんですが、お恥ずかしながら、あまり技術のことは明るくありません。ただ2018年に起業する際に、最初のプロトタイプを作ることを手伝ってくれた元同僚の、ハーフのアメリカ人のエンジニアがいるんですが、彼にはこういうことをしたいんだって相談をした時に、こういうフレームワークで作っていくよみたいなことを、色々説明をして貰ったうちの一つ、こういうサービスがあるよっていうところで、言語の話とかサーバーどうするのかとか、色んなことを教えて貰ったんですけれども、そのうちの一つがHerokuでした。

細谷: ありがとうございます。やはりHerokuと聞くと、エンジニアの方々が利用するプラットフォームであるというイメージを、古屋さんのおっしゃられた通りに、イメージ持たれる方が多いですけれども。古屋さんは、シリコンバレーのメンターから、ビジネスノウハウを直接教えて頂ける、500 Startups KOBEのアクセラレータプログラムに参加されたんですよね。

古屋: そうですね。2018年の10月に、ご存知の方いらっしゃるか分からないですが、シリコンバレーで有数な、いわゆるアクセラレータの一つである、500 Startupsというところが、日本ではオリジナルのプログラムを、神戸市が誘致をしてやっております。毎年10月から12月の6週間のプログラムで、本国のアクセラとは少し期間が短いですけれども、全く同レベルの、同内容のプログラムを、日本国内にいながら受けることができるものです。

毎週、様々なメンターの方が、シリコンバレーから神戸にフライトでやってきて、午前中講義を受けたり、1 on 1のメンタリングを受けたりという、様々なことを教えていただくんですけれども、その500 Startupsの投資先と、あとグローバルのプログラムの参加チームが使える、福利厚生みたいなものがあって、Perksって言うんですけど、そこの中に、例えばいろんなサービスのディスカウントが得られますとか、無料でこの期間使えますとか、いろんなものがあって。本当にサーバーからツールから、レンタルオフィスから色んなものが選べるんですけれども、その中にHerokuのスタートアッププログラムが入っておりまして。

元々Herokuを使っていたのもあって、このプログラムに申し込むと、かなりお安く使えるっていうところで、去年(2018年)の恐らく12月から、そのスタートアッププログラム、グローバルの方のものを使わせていただいてます。

細谷: ありがとうございます。そのアクセラレータプログラムの中では、開発者のみならず、様々なビジネス支援であったりといった、システム支援などを受けられたということなんですね。

では次に、Clarityのサービスについて具体的にお伺いできればと考えております。働く女性のための企業のデーターベース、Clarityを展開されているかと思うんですけれども、具体的に、どういったサービスであるのか、リスナーの皆様にご紹介いただけますでしょうか。

古屋: はい。まず私共が解決したい課題なんですけれども、ニュースでも言われてはいるものの、女性活躍推進というところが日本は先進国と比べてとても遅れています。私たちのフォーカスしている女性層で言うと、きちんとフルタイムでキャリアを続けられるスキルと意思がある、年収レンジで言ったら、3-400万円から800万円、1000万円ぐらいの、キャリア志向の女性の方達が、結婚や出産でお仕事を辞めてしまったりとか、すごく優秀にも関わらず、責任のある仕事や面白い仕事に就けなくて、すごく機会損失が起こってしまっている、こういった課題を解決したいという思いでサービスを立ち上げました。

ビジョンとしては、働く女性に人生とキャリアの選択肢をっていうところなんですが、彼女達が、より良い選択ができるように、選択肢を提供して、透明度、情報の透明度を上げていくっていうことを目指しているために、サービス名というか、会社名をClarity、透明度を高めるっていうところで、名前を付けさせていただきました。

その課題に対して、どういったソリューションを打ち返していくのかっていうのは、本当にスタートアップ的に、もうやってみて、仮説検証を繰り返して、PMFまでを、キャッシュアウトしないように、何とか持っていくみたいなアプローチになっているんですけれども。実は、一番最初に会社を始めようと思った時は、女性向けの企業口コミサイトをやろうと思っていて、海外でいうと、Glassdoorとか国内で言うとVorkers(openwork)さんの女性版みたいなことを始めようとしていました。

ただ、色々マーケティング的にも、予算的にも、ビジネスモデル的にもちょっとハードルが高いなというところで、じゃ透明度を高めて選択肢を増やす手段として、企業口コミ以外に何があるだろうと思った時の、次のアイディアが、データベースを作ってみたらどうだろうかというところで。どんな会社さんの福利厚生とか、人事制度どういうものがあるのかと、女性比率はどれくらいで、管理職比率だったり、平均残業時間とか、育休取得率とか、そういったものがしっかりと可視化されて、企業間比較ができるプラットホームって、国内にもほとんどないよなというところで始めたのが、企業の働き方データーベースというもので、こちらが去年の2018年の2月にリリースをしました。

少し、PMFに近づいたというか、反響をいただいていて、そんな証しになるのかなとは思うんですけれども、Slush Tokyoというスタートアップの国内最大級の祭典というものがあるんですけれども、そこのピッチコンテストで、日本人として初めて優勝させていただきました。

そこから、どういう風にビジネスを展開していこうかなというところで、企業のデーターベースと、エンプロイヤーブランディングプラットフォームというところで、企業様の働き方の取材記事を出したりとか、個人情報を出したりとか、そういったことをウェブ上でプラットフォームを作ってまいりまして。SEO対策などを施して、どんどん伸びていったっていうのが去年一年やってきたことです。

そこから派生して、じゃあこのブランディングデーターベースを作っていって、本当に皆さんの課題を解決できるのだろうかとか。そもそも解決する課題って、もっと絞り込めるじゃないかとか、そういったことを色々模索を、去年の夏頃からさせていただきまして。理由としては、データーベース出しました、どの会社にどういう制度があるか分かる、っていうところで、役に立つという声はいただいたものの、やっぱり実態として、制度があっても実際に本当に使われてるのかとか、育休は取れても、実はチームとか上司から嫌味っぽいこと言われるような、取りにくい社内の雰囲気があるんじゃないかとか、他の女性がどの会社でどういう風に育児とキャリアを両立してるのかっていう、リアルな話が聞きたいっていう声を数多くいただいたんですね。

そこのユーザーさんのご意見に対して、しっかりと応えていけるようなサービスにしようというところで、現状のサービスの延長にはなるんですけれども、新しいサービスを開発し、今年の3月から4月頃にリリースをする予定で、PMFに向けて、走っているっていうのが今やっていることです。

細谷: はい、ありがとうございます。非常に詳細に分かりやすく説明いただいたけれども。私も古屋さんが展開されているClarityサービスを、実際に、見てみたんですけれども。就活の時に使っていた企業のサイトとは、かなり異なる観点が含まれているなというふうに感じまして。ロールモデルの先輩に、実際に気になるポイントを質問することができたりですとか、育児支援制度であったり、産前産後休暇という、特定のシステムに絞った形で、企業の状況を知ることができるというのが、凄く魅力的な部分だなという風に感じました。

古屋: ありがとうございます。

細谷: はい。まさに古屋さんが、これまでのキャリアであったり、実際に起業されて、ここまで会社を成長させてきたという背景も踏まえて、非常に女性の活躍を、体現されて、周りの女性をエンパワーしてく存在だなっていう風に思っていまして。女性の活躍という観点ですと、選択肢としては、実際の経営者ではなくて、企業に残って従業員としてCxOを目指す道ですとか、社内の中で起業する道もあったかとは思うんですけれども。古屋さんが、ご自身でビジネスを始められたきっかけですとか、その現体験であったり背景をお伺いできますでしょうか。

古屋: そうですね。うちは、実家が、台東区浅草橋で印刷屋をやっていた、本当に下町の、小さい、零細企業の家で。父は、お爺ちゃんの代から印刷会社をやっていて、そこそこうまくやってたんですけど、中学ぐらいの時にうまくいかなくなってしまって。その後に母が、ウェブデザイン会社を自分で立ち上げて、二人とも何とか、細々と、今もやっているような感じなんですけれども。なので、両親とも自営業で、家と会社が一つのビルにまとまってるような感じだったので、逆に会社に勤める方のイメージの方が湧かなくて。自分も同じように、自営というか、会社をやるんだろうなっていうのは、小さい時から思ってました。あとは何ですかね。自分で会社やってた方が自由があるし、自分自身の仕事と子育ての両立とかを、将来的に考えた時に、別に育休制度はなくても、自分が休みたい時に、ちゃんと会社が回るようにしていれば休めるし、時間の融通、場所の融通が利くだろうなっていうのも思っていて、あんまり会社に勤めるつもりは、最初から、なかったっていうのが正直なところです。

何かやりたいことを実現するための、手段としての起業でもあるとは思っていて、勿論、社内起業とか、他の会社のCxOを目指す、みたいな道もあったのかなと思うんですけれども、自分でやった方が楽しいじゃないかなとか、あとは特にスタートアップって、すごいハイリスクなので、自分で頑張った分のリターンをちゃんと、自分で得たいなみたいなところですかね。

細谷: はい、ありがとうございます。小さい頃から、ご家族の姿を、身近に感じられたっていうところですとか、あとは、人生の中で、どういう生き方をしていきたいかということを考えた時に、やはりご自身しっくりくるのが、起業であったっていうことですね。

古屋: そうですね、はい。

細谷: はい。ビジネスをこう軌道に乗せていく上で、資金調達であったり、採用、プロダクト開発など、あらゆる苦労があったかと存じますが、その中でも、特に、女性ならではでの苦労ですとか、ファウンダーとして、心身の健康を保っていく上で、感じた壁ですとか、それをどのように克服されたかっていうところを、教えていただけますでしょうか。

古屋: エンジニアの採用に関して言うと、やっぱり非エンジニアのファウンダーであり、女性であり、かつプロダクトサービスも女性向けのものであり、すごく特段、めだったAIとか、ブロックチェーンみたいな技術を、必要とする訳ではない、無難な技術開発になっていくっていうところもあって、最初の一年は、もう殆ど、エンジニアが見つからなかった状況でした。なので、そういう意味では、採用が一番苦しかったかもしれないです。

国内のエンジニアさんは、やっぱり男性がどうしても多いので、解決したい課題とかビジョンのところで、共感が得られにくいっていうところと、あとは、教育の問題ではあると思うんですけれども、どうしても僕はPHPしか書かないからとか、なんかフロントコーディングならできるけど、バックエンドはやりたくないとか、凄く技術に、つまり手段に、特化している方が多い印象で、こういうユーザーに、こういう体験ないしは価値を提供するために、こういうサービスを作りたい、それをやるためには、こういう機能が必要なんだけれども、どういう風に作ったらいいかっていう風な考え方で、じゃこれをやるだったら例えばサーバーだったらこれがいいよねとか、フレームワークだったらこれがいいよねっていう考え方をして、必要なことを、自分で、使ったことない言語であっても、自分で学んで、ゴリゴリ書いていくみたいな、そういう働き方ができる人、マインドセット思ってる人が、やっぱり初期のスタートアップって必要なんですけれども、そういう人も国内では凄く少ないっていうのが正直なところで、この二つの理由で、採用すごく難しかったです。

途中で、日本人のエンジニア採用もうやめようっていうのを、自分で決めまして。こういうダイバーシティーとか、女性活躍の文脈って、やっぱり海外の方の方がずっと関心が高いっていうのは正直あって。ゴール指向で、柔軟に開発ができる人、フルスタックでできる人っていうのが、どう考えても、英語圏の、英語圏というか、英語が話せる海外の人の方が、人口として総数が圧倒的に多いんで、人種性別年齢国籍問わずに、海外のエンジニアさんで採用を募りました。具体的には、AngelListですね。AngelListに求人を掲載したりとか、国内にある外国人エンジニアのコミュニティーに入ったりとか、そういったことをしているうちに、国内にいるベトナム人エンジニアさんで、フルスタックの方が共感して入ってきてくれたっていうのが、本当にそれまで、半年ぐらい、半年一年弱ぐらいは、この人だって言う人を見つけるまでには、すごく苦労をしました。

資金調達に関しても、同じようなことで。やっぱりベンチャーキャピタリストって男性社会で、男性のキャピタリストさんが多いですし、最近は女性の方も増えてきてはいますが、意思決定者で女性の方ってのは、まだまだ本当に片指(手)で数えられるぐらいかなっていうのが現状です。

なので、こういう課題を解決しようと思っていて、課題に対しても理解が難しかったりとか、あとは女性差別的なことも日常的に言われますし、もうその辺では、自分がもっと技術が分かったりとか、投資したいと思えるような魅力的なサービスに、しきれていないっていうのは前提として、しょうがないところではあるんですけれども、そこを省いたとしても、やっぱり女性ファウンダーとしてのハードルっていうのは、かなり資金調達の面でも感じました。

なので、結局投資をしていただいたVCさんは、元がグローバルな会社の、外国人が多いVCさんに入れていただいたりとかっていうのに着地はしています。

細谷: 実際に最初、日本の中でエンジニアを探したけれども、機能に偏った形になってしまったので、グローバルでの採用強化した、ビジョンに沿った形での、まずはビジョンを実現するために、どういうことが必要なのかという順序のマインドセットがある方を採用したというふうになってたかと思うんですけれども、実際に、そういう方を採用したことによって、よりこういうサービスが良くなったですとか、すごいメリットがあったかっていうところを、教えていただけますか。

古屋: そうですね。まず、英語がネイティブの人ではないですけど、ベトナム人なので、仕事をする上では困らない程度に、読み書き聞き喋ることができる方なので、やっぱり情報のソースに多くの、質の高い情報にリーチができるっていうところが、一つ大きな強みになると思います。

開発周りの情報であったりとか、トレンドだったりとか、あとはさまざまなツールが世の中に出てるので、ゼロから開発しなくても、これプラグインでどうにかなるよね、みたいなことで、かなり開発コストとスピードが、削減されてるなっていう風に感じます。

彼自身も二児の父で、ビジョンにすごく共感をしていて、とてもゴール指向なので、わたしがそもそも技術が分からないのでできないですけど、できたとしても、こうマイクロマネジメントとか、細かく要件定義してみたいなことをしなくても、目的さえ伝えれば、あとはどんなフレームワークでどうやろうと思って、作ってくれるっていうところは、コミュニケーションコストが本当に削減されているなという風に感じます。

あとは彼自身も、自由に仕事ができる、その自由っていうのは、働く時間とか場所に関してと、あとはどういう風に開発を進めていくかっていうのも、自分で全部決めて、要件を自分で決めて、自分で開発してっていうのができるので、責任は多いと思うんですけども、すごく楽しそうに仕事をしてくれています。

彼の人生で一番大事なことが、家族と時間を共に過ごすことっていうところで、元々ベトナムで一番大きいソフトウェア会社で、色んな国のプロジェクトを担う、ブリッジエンジニアリングまで、プロジェクトを持ったりしていたんですけれども、日本のプロジェクトになった瞬間に、労働時間が凄く増えてしまって。要するに、クライアントである日本企業が、凄く業務効率が悪いというところで、請負側のメンバーの労働時間も圧倒的に増えてしまった。その結果、家に帰れないっていうのが当たり前のように起こって、下の子供がまだ幼かったですけれども、お父さんの顔忘れ掛けてしまって。これはさすがにちょっと、人生がおかしくなってしまうっていうところで、仕事をどうにかもう少し、自分の人生が豊かになるような仕事にシフトができないかっていう風に探してた所、うちポジションに出会って、入ってくれたので、彼は基本的にはフルリモートで、家から仕事をしてるんですけれども、必要な時だけ繋いで、週一でミーティングをしたりっていうことをしていて。それが彼の人生にとっても、うちの会社としてのビジネスにとっても、良いだけではなくて、彼が豊かな人生を家族と共にすごせるっていうところで、素晴らしいマッチングが今できてるのかなという風に感じています。

細谷: そうですね。ありがとうございます。やはり女性側だけではなくて、従業員全体の働き方であったり、人生の選択肢が増えるというところで、まずはゴールであったり、ビジョンを経営者の方と従業員の方がしっかり握って、持続的に働いてくると、企業側にとっても、従業員の方々にとっても、お互いにメリットがあるなというところで、重要な気づきを私もいただきました。ありがとうございます。

はい、ご自身の健康についての部分も、記事でも少し拝見させていただいたんですけれども、お聞かせ願えますでしょうか。

古屋: そうですね。元々私も、凄い典型的な長時間労働する日本人みたいな働き方をしていて、外資系の会社でばっかり働いてはいたんですけれども、何ですかね、やっぱり女だからなめられるみたいなところもあったり、自分がジュニアレベルで至らないので、しっかりと仕事をするためにはある程度時間が掛かるっていうところもあって、めちゃくちゃ働くタイプだったですね。もう徹夜したりとか。一か月”400時間ぐらい働いてた時期もありますし。2時、3時まで働くの当たり前だし、広告代理店だったので、今話聞いたらだいぶ改善されたみたいですけど、チームで打ち上げしようとか、飲み会しようみたいになったら、開始時間が夜10時でも早いぐらいの文化に、それが当たり前みたいな。何か夜、夕方6時を廻ると、やっと一日が半分終わったなみたいな、そんな感覚で仕事をしていて、ただ自分がやりたいことをやってたので、それに関しては全く不満はなくて、凄くチャレンジングな仕事を楽しんでやっていたんですけれども。

やっぱり30ぐらいになってくると、女の人って体のいろいろ不調が出てきやすかったりとかして、会社の健康診断で、子宮頸ガンの軽度異形成ですよっていうのを言われてたんですけど、子宮頚ガンて、ガンの中で唯一ウイルス性のガンで、90%ぐらいの人が、ウイルスを持ってるっていう風に言われていて、最後は軽度中度高度ってこう崩れていって、初めてその次にガンになるんですけど、軽度の異形成は、本当にみんなよくやってる風みたいな感じで、本当には自然治癒するようなもんなんですね。ただ会社の健康診断が凄い優れていて、20代から女性は全員年齢に関係なく婦人科検診が、会社の健康診断についていたので、早期発見をしていました。

フリーランスになって、健康診断に行かなくなってしまって、そこでちょっと進んでしまって、不正出血がありました。調べたところ、高度異形成まで進んでしまっていたので、手術をして、すぐに直したんですけれども、そういったことがあると、仕事もしたかったし、キャリアでは起業もしたかったので、35ぐらいまでは、結婚も出産もいいやと思って、あと延ばしにして、あんまり考えないようにしてたんですけど、無事全く問題なく感じはしているものの、不正出血をして、急いで病院に行った当時は、凄い悪化してるかもしれないから最悪子宮を全部摘出するっていうこともあり得るので覚悟しろ、みたいなことを医者に言われて。

その時に初めて、健康の大事さみたいなことを凄い痛感して、休むのも自己管理も仕事のうちなので、ちょっと寝てたりとか、遊び過ぎたりとかすると、罪悪感を感じてしまうタイプだったんですけど、もうちゃんと休もうっていうところで、起業してからの方が、実はちゃんと寝ていたりとか、かなり心身の健康には気を配るようになったなっていう風に思います。

細谷: はい、そうだったんですね。実際になってみないと、大変さであったり、病気だけではなくて、例えば、出産であったり、妊娠、結婚のような、ライフイベントも、自分がその状況にならないと、どれだけ大変なのかだったり、どうやったらこれを乗り越えていけばいいのかというのが、なかなか知る機会がないなっていうのが、現状なんですけれども。このClarityのサービスでは、そういったところも、具体的に、身近な先輩からお話を聞けるっていうところがあるのかなというふうに思いました。

古屋: そうですね。起業なんでしたんですかとか言われても、いや別に周りにそういう人いっぱいいるしなとか、今度、出産、子育てと、仕事の両立とかなっても、両立してる先輩いるしなとか、病気の話とか、本当になってみないとわかんないですけど、こういう話を私がパブリックでしているので、同じ症状の方がご相談に来てくださって、お伝えしたところ、彼、彼女にとって、最適な方法で、治療が受けられたりとか、そういう人との繋がりとか、コミュニケーションって、ホント大事なだろうなと思ってていて。

どんなに世の中で、女性が働きやすくなってきたとか、結婚と出産育児と、キャリアの両立をやろうと思えば、できるよとか言っていても、実際、自分の身の回りの人にそういう人がいないと、想像も付かないし、どうやったらいいかわからないとか、全然現実的なものに感じれないっていうのはあると思います。

できないって思ったりとか、やり方がわかんないって言うので、思考停止して、そこでストップして、キャリアから離脱してしまう人ってすごく多いと思うんですけれども、本当に真面目に、なぜ女性がそういう風になってしまうのかという課題を考えぬくと、社会的な課題とか税制の話とか、文化カルチャー、色んな事があり過ぎて、一体どこから手を付けたらこの問題を解決することができるのかって、本当に迷子になってしまうというか、こう悩んでしまうんですけれども。

実はもしかして、その解決策って、もっと些細で、シンプルなものなんじゃないかなとか思っていて、身近な人と出会えて、お話ができたり、体験談を共有して貰ったりとか、きっかけを与えるだけで、みんな自分で考えて、実装できるじゃないかなっていう風に信じていて、そういうコミュニティーの場ができる、海外で言うところの、女性のメンター - メンティ マッチングサービスっていう方向に、振ろうという風にしています。

細谷: はい、ありがとうございます。私も実際に女性のエンパワーメントのグループですとか、コミュニティのイベントに参加したことがあります。その時には、自分の同じ会社の人ではないですけれども、周りに聞いた話で、結婚した若い女性が、会社の中で、周りの男性の方に結婚しましたという報告をした時に、会社辞めじゃうのって聞かれて、ショックを受けたという話ですとか。

同じ会社の中に、ちょっと社員の方で働いてるママがゼロっていう職場環境があると、すごく自分が不安に感じるというお話などを聞いて、意識の問題もあるんですけれども、そもそも知らない。どういう感情が、女性であったり、そのジェンダーイクアリティの中で、生まれているかっていうことが、まだまだ知られていない現状があるのかなという風に考えているんですけれども。

古屋さんが感じられる、課題感といいますか、小さなところで女性同士が話し合う場は、今もあると思うんですけれども。実際その経営層の方であったり、男性で経済成長を引っ張ってきた方が、まだまだ、そういうところを理解できる場が少ないのかなという風にも思うんですけれども、ライフステージの移り変わりと共に、キャリアを形成していく中で、古屋さんが感じられる課題ございますでしょうか。

古屋: それはどこも一緒ですよね。意思決定層に、女性が座ってないっていうのがやっぱり一番大きいのと、男性の意思決定層にいらっしゃる方が、世代的にも、ご自身のプライベートのご経験的にも、その感覚が分からないっていうのは、ご自身が多分子育てに参画あんまりされていらっしゃいなかったりとか、そういうことがあると思っていて。

もっとこの問題の原因を辿るとすると、日本人の働く男性が、圧倒的に不幸なんですよね。他の国の比較で見ても、日本の男性が働く時間があまりにも長い。

実は、日本女性の労働時間の平均、他の諸外国の労働女性の労働時間の平均と、ほとんど変わらないんですよ。ということは、時間で言ったら、日本の女性まーまー働いているですね。

圧倒的に違う点が男性の労働時間で、もう本当圧倒的に長すぎる。そんなに働いていたら、もう家庭や子育てどころか、自分の趣味とか、プライベートも全くないような働き方をしていて、彼らは凄く、実は本人は、意識があるか分からないけども、あんまりハッピーではないんじゃないかな。不孝さを埋め合わせるために、自分は凄いみたいな風に思いたかったりとか、会社で女性蔑視があったりとか、家庭では奥さんとか子供に対して強く出ちゃうとか、そういう問題って、すごい世の中に蔓延ってるなという風に思っています。

そうした、どうやったら変えられるのかみたいなことも、ずっと考えていて、一つは、企業口コミで外圧を作るとか、データーベースで企業間比較した時に、競合他社より、御社の方が、ここが足りないですよみたいな風に、こう競争させるとか。色んなことを考えているんですけれども。

やっぱり変えることで、凄い大きく変えるってことは難しいなと思っていて、ただそういうことをすることによって、経済的にメリットがあるっていうことを、しっかりと伝えていくってことが大事なのかなっていう風に思います。

国内の女性活躍とかで、海外と比べると、CSRの延長とか、ボランティアの延長みたいな風に思われてしまうですけれども、これをやることが組織の成長に繋がり、売上向上に繋がるっていうことが、もう諸外国のリポートでは証明をされているので、ちゃんと国内でも認識されるようなことを、みんなが発信していくっていうのが大きくはあるかなと。

あとは、働く女性の意識もしっかりと支えていかなきゃいけないなと思っていて、やっぱり自分だけ良ければいいとか、ちょっと働いて稼げればいいとか、他の女性のことはあんまり気にしてないみたいな人も、少なからずいたりするので、実はすごくいいノウハウを持っているんだけれども、共有するきっかけがなかったりとか、自分のことを過小評価してしまって、自分なんて大したことないからわざわざ人に教えることのことはないみたいな感じで、せっかくいいものを持ってるのに共有されてないっていうところがあるので、そちらの方の課題をうちのサービスでは解決していこうかなという風に思ってます。

細谷: はい、ありがとうございます。やはりその根本的な考え方の部分であったり、働き方というところを継続的なメリットも含めて、CSRの文脈のみではなく、どれだけインパクトを与えられて、売上ですとか経済的なインパクトを載せるっていうところを、根本に掲げていらっしゃるというのが伝わってきました。

最後に、古屋さんが今後、実現されたい社会であったり、先程冒頭にも、新しいサービスを計画中というお話をうかがっていたので、そういったサービスを通してどのような価値を届けていきたいのか、まとめとしてお願いできますでしょうか。

古屋: そうですね。新しいサービスと言っても、今あるものの延長にはなるんですけども、そこで叶えたい所としては、やっぱり今、働いてる女性の方は、もちろん男性の方も、これだけ社会が変わっていって働き方が変わっていく中で、イメージで言うと、凄く濁った海の、透明度の低い濁った暗い海に、一人で泳いでいる、ダイビングをしているような、そういう状況なのかなという風に思っていて。

どっちがどっちの方向なのかも分からないし、どこに何があるのかも分からないし、どういう風に泳いで、進んでいったらいいのかも分からないし、戸惑ってしまって、その場で立ちすくんでしまってるような、そういう方が多いのかなという風に思っています。

私たちは、そこの皆さんの周りの水の透明度を高めることによって、あっちの方に行ったらもう少し明るそうだとか、何か奇麗なサンゴが意外と近くにあるから、ちょっと泳いでみようかとか、そういったことを思ってもらえるような、きっかけを作りたいなと思っています。

社会としては、最終的に、多様性を増やすことによって、何が達成されるのかなって考えた時に、変化と不確実性に強い組織が生まれるのかなという風に思ってます。 仮に女性だけだったとしても、それは多様性がないですし、新しい考えとか、異分子を受け入れる土壌がある、文化がある組織の方が、新しいサービスであったりとか、仕事の進め方であったりとか、面白い人材が採用されやすい会社になると思ってるので、うちのサービスを通じて、そういう風に働ける方、そういう組織が最終的に増えていって、日本全体がもっと国力が上がるようにしたいなと。

それが最終的には、少子高齢化の問題にも繋がっていきますし、国内だけでは食べていけないので、グローバルで戦えるような強いサービス会社が生まれていく、成長していく、キーになるのかなという風に思っています。

細谷: はい、ありがとうございます。多様な方々が、色々な働き方をして、人生の選択肢を増やして、かつ持続的に働いて、真の意味での社会の平等というのを実現していくきっかけになるのではないかなというふうにお話を聞いていて感じました。本日は、古屋さん、貴重な話をいただきありがとうございます。

古屋: ありがとうございました。

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