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岡本 充洋さんと、Mulesoftについてのお話

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MulesoftのSolution Architectである岡本 充洋さんをお迎えし、Mulesoftについての技術的な解説をしていただくとともに、技術キャリアや、Salesforceでの開発に関しても知見を共有してもらいました。


ショー・ノート

  • 岡本さん自己紹介

  • Salesforceでのキャリア、Dev Evangelist、Herokuとの関わり

  • Mulesoftとの出会い

  • Mulesoftの技術的な解説

  • Salesforceが目指している開発プラットフォームロードマップについて

  • New Normalな働き方

トランスクリプト

永野: 私は、SalesforceでHerokuを担当している永野 智です。このエピソードは、Deeply Technicalがテーマとなります。本日はMulesoftのソリューションアーキテクトである、岡本 充洋さんをゲストにお迎えしております。よろしくお願いします。

岡本: 岡本です。よろしくお願いします。

永野: 岡本さん、ではまず初めにご存じない方もいらっしゃると思いますので、自己紹介をよろしくお願いします。

岡本: はい。私は2008年の4月にセールスフォースに入社しまして、4月1日で12年目になります。初めの11年間は、セールスフォースのアライアンス部門から始まってパートナーさんのテクニカルサポートをやっていて、そこからマーケティング部門に異動して、デベロッパーのエバンジェリストをやっていました。その後に機会があって、昨年の6月にMulesoftのチームにソリューションアーキテクトとして加わりました。今Mulesoftのチームに行ってから10ヶ月になります。どんなことやってるかって言うと、ソリューションアーキテクトですので、基本的にはMulesoftを購入したお客さんに対してアーキテクチャの設計を支援したりとか、場合によってはアーキテクチャ自分が設計してインプリメンテーションまでをやったりだとかそういった業務をしております。

永野: まず12周年おめでとうございます。どうですか、12年前と比べて、もう人数も多いし、全然違う環境になってるイメージだと思いますが。

岡本: いやもう全く別の会社ですね。今のMulesoftも別のビジネスユニットなので、社内のスタートアップみたいな感じなんですけども、セールスフォース自体が2008年、私入った時100人ちょっとだけで、まだ恵比寿にオフィスがあったんですよね。

永野: 坂内さんにこないだ聞きました。

岡本: そうなんです。恵比寿にオフィスがあって。入社した時に恵比寿のオフィスに行ったら、再来週にオフィス移転するからって言われて、どこに行くんですかって言ったら六本木ヒルズだって言われて。俺もヒルズ族になったなっていうのを覚えてます。

永野: なるほどね。そこから、今は東京駅の真ん前にあって。来年再来年にはまた別のビルって発表されてるから。Salesforce Towerみたいなのができちゃう。

岡本: 大手町のビルですよね。

永野: なるほどね。岡本さんは何やってきたのかをお話していただきたいなと思うんですけど、そもそも何故セールスフォースに入ったのですか。

岡本: なぜ入ったか言うとですね、直接的な原因というのは私の前任者の、今のマッシュマトリックスという会社で社長さん、起業された冨田さんという方が元々セールスフォースの社員だったんですけども、その方にセールスフォース受けてみたらって言われて、受けて入ったっていうのが理由なんですね。

永野: 冨田さんとはそんな前からご存知だったんですか。

岡本: そうなんですよ。冨田さんの紹介で私入ったんですけど、入社したら冨田さんいなくなってたっていう。

永野: そうなんだ。

岡本: 何か冨田さんが起業しようとしていて、当時100人ぐらいしかいなかったので、いわゆるガチンコのエンジニアっていうのが社内で冨田さんしかいなかったみたいで、いなくなっちゃうと困るっていうので、エンジニアちょっとそこらへんでいいのいないのって言って、ちょうどいいのがいましたっていうのが私だったみたいです。

永野: じゃあ前職の時のお知り合いみたいな。

岡本: 前職で働いてた時に、冨田さんが開発者にもっとセールスフォースを知ってもらうという活動をやっていて、その製品の説明に来たんですよ、たまたま。私に対してじゃなくて、前にセールスフォースにいた安島さんと同じ会社にいて、その安島さんに対して紹介しに行った時に、何か面白そうな人が来たから聞いてみたよみたいな感じで聞いてて、色々質問してたらそんなに興味あるだったら入ってみたらみたいな乗りでした。

永野: そうだったんですね。セールスフォース入って、色々アライアンスとかもやられて、デベロッパーエバンジェリストみたいなのっていつぐらいから始めるんですか。

岡本: 5年前ぐらいかな。2013年ぐらいだったと思います。途中でデベロッパーエバンジェリストってロールになりましたけど、最初はデベロッパーマーケティング部門っていうもの自体がなくて、ひとりだったので、自分でマーケティング施策とかも考えたりだとか、セミナーのプランだとかウェブサイトを作ったりとか、何でも屋さんですね。その後にいわゆるプログラムマネージャーみたいな方が入ってきたので、それでエバンジェリスト専任でっていうふうにやっていたのがこの2、3年ぐらいって感じですかね。

永野: 結構人脈も増えるというか色んな方とお知り合いになれたじゃないですか。

岡本: そうですね。セールスフォースのトレイルブレイザーっていうコミュニティーの方々っていうのは、古くいらっしゃる方々とも知り合いになりましたし、どちらかというと黎明期ですね、2008年から2010年ぐらいまでって、クラウドがちょうど盛り上がってくるとこで、セールスフォースがクラウドのトップを走ってる存在だったので、いろんなセミナーに呼んでいただいたりした時に、例えばAWSの人とかと知り合ったりだとか、色んなエンジニア界隈の著名な方とかと一緒にセミナーとかで登壇する機会とかいただいて結構人脈はそこで広がったなっていうのがありました。

永野: なるほどね。その時に色々な開発者との話をしていく中でHerokuとも関わっていったみたいなそんなイメージですかね。

岡本: えーっとですね。Herokuに関しては正直私アンテナが低かったので、大変恥ずかしいですけども、買収された時に知りました。そうですね2010年ですよね。Herokuが出たのが2007年にAdam (Wiggins)とかが創業して、2010年に買収発表された時に、何だこの製品はって時に、凄い素晴らしいなと思ってこうわくわくしたの覚えてますね。

永野: それから覚えたって感じですか。

岡本: そうですね。Heroku自体はそれから覚えましたね。

永野: でも、基本的なセールスフォースの開発っていう文脈の中で、Herokuってちょっと違う位置付けだったようなイメージなのかなと思うんですけど。岡本さんがデベロッパー、開発者とHerokuについて色々解説し出すきっかけなんですか。

岡本: 結局Herokuが、本社は北米にしかビジネスユニットがなかったっていうのと、日本でHerokuの担当者が最初はいなかったので、私がそのHerokuに関しても開発者の方に日本語で情報を伝えるっていうのをやっていたっていうのはあります。ただ私もセールスフォースに入る前はJavaのエンジニアずっとやっていて、オープンソースのカルチャーとか、ハッカーのカルチャーっていうのはリスペクトして好きだったので、セールスフォースの人間があんまりHerokuとして出て行くのも、Herokuの崇高な紫の世界を踏みにじっちゃいけないと思って、意図的に距離を置いていたっていうのはありますね。

永野: そうですよね。やっぱりオーディンス違うな感はありますよね。セールスフォースの文脈で話をしている人と、Herokuっていう文脈というかオープンソース開発で話をしている文脈の人って、やっぱりまだちょっと違う人達ってイメージを持ってるんですけど、それどう思います。

岡本: やっぱ違うでしょうね。Herokuは元々Rubyのカルチャーからスタートしてるもんですし、基本的にはありもののSaaSをカスタマイズしていくっていうところでSalesforceの一番生産性が上がっていくっていうな考え方と、そのミドルウェアとかフレームワークとかはあるけど、そこから開発者の生産性を最大化して、いいものを作っていくってカルチャーなので、基本的にやっぱり違うDNAなのかなって今でも思ってはいますけどね。

永野: なるほどね。次の話題で、一年前というか、8−9ヶ月前にMulesoftに転職をされるんですけど、Mulesoftを知ったきっかけってのは買収ぐらいの時ですか。

岡本: 恥ずかしながら、これも買収されて、なんだこの製品はって知ったのが、正直なところですね。

永野: その時にどういう感じで知ったんですか。どういう印象を受けましたか。

岡本: そうですね。どんな製品だろと思って色々みていって、初めはインテグレーションっていう観点の製品ぐらいにしか見てなかったんですけども、調べていくと、結構カルチャーというか、DNAとかHerokuに似ていて。基本的に開発者に対してどういうふうに開発生産性を高めていくものを提供するかっていう風なところが根底にあって。そのフィロソフィー、哲学がぶれていないっていうところがすごく気に入ったって印象がありますね。コアになっているMulesoftのESBっていうのもオープンソースで元々あるもので、今もオープンソースになってますし、そういったところも自分が元々セールスフォースに入社する前に持ってた、根本的にはそういったハッカーのカルチャーが好きだっていうのと凄くマッチしたので、これは何かHerokuの時に、正直Herokuの時もHerokuやりたいなって凄く思ってたんですけども、その時はちょっと部門を移動するっていうことができなかったので、Herokuをセールスフォースの名刺持ってあんまり土足で踏み込みたくないから、あえて、「愛深き故に見守る愛」みたいな感じだったんですけど、今回はちゃんと部門を移動して触ろうっていうふうに思ったのが最初の印象でしたね。

永野: Mulesoftって本社どこでしたっけ。

岡本: サンフランシスコですよ。

永野: サンフランシスコなんですね。でもあれだよね、Mulesoft自体は結構歴史Herokuが買収された時より全然ある会社ではありますよね。

岡本: 歴史ありますね。もう10年以上やってて、Mulesoft ESB自体はRoss Masonって、今もファウンダーとして会社にいますけども、彼が作ったのはもう本当2004年とか5年ぐらいだと思います。

永野: スタートアップカルチャーみたいな雰囲気もあるんですか。

岡本: スタートアップカルチャーみたいな雰囲気はないですけれども、基本的に開発者にとってエンタープライズなアーキテクトとかデベロッパーにとって、こういう風であるべきっていうようなところは一貫してるなという。例えばマーケティングメッセージに製品が流されたりだとか、なんとなく流行りに乗っかっていってるだけっていうようなことがなくて、きちんとエンジニアリングとして熟考された上にプロダクトが決まっていたりだとか、製品戦略が決まってるっていうのが移動してみての印象ですね。

永野: マーケティングに流されるって、「セールスフォース批判か?!」みたいな感じですけど。

岡本: はは、違います違います。マーケティングって、自分もマーケティングにいたので分かるんですけど、すごい重要なんですよ。特にRevenue(売上)を増やすという観点では。例えばどんなに良い製品でもマーケティングがうまくいかなくて潰れていくもんなんて御万とこの世の中にある中で、そのマーケティングをうまくやっていくっていうのはすごい重要なんですね。ただ一方で、そのマーケティングのメッセージにプロダクトが引っ張られてしまうと、それはプロダクトとしてのフィロソフィーを失ってしまうっていうことになるので、そのバランス取りって凄い難しいなっていうのは、セールスフォースを見ていて思ってたんですね。セールスフォースは比較的そこをうまくできてる製品だったと思うんですけども。 どちらかと言うとセールスフォースの場合には、それが、マーケティングに引っ張られてる引っ張られてないというよりも、アプリケーションレイヤーの製品なんですね、セールスフォースっていうのは。 Mulesoftってやっぱりミドルウェアのレイヤーの製品なので、元々自分がセールスフォースに入る前に好きだったこととか、やってたことって、JBOSSとかSpring frameworkとか、尊敬してたのがHibernate作ったGavin Kingとか、Spring framework作ったRod Johnsonとか、そういった人達を崇拝してたので、そういう自分の忘れていたカルチャーを呼び起こされたというか、ここら辺のレイヤーが好きだったなっていうのが。

永野: なんとなく言ってることは分かりますね。だからペルソナイメージで色々なマーケティングメッセージ流していく中で、どこをマジョリティとして捉えてるかっていうところに集約してるのかなっていう気がしていて。もちろんセールスフォースもIT向けメッセージとかデベロッパー向けメッセージみたいなものは、きちんと話をするっていうところがあるんだけど、やっぱりLoBメッセージだとかマーケティングメッセージみたいなものが、つまりお客さまがマーケッターみたいなところへのメッセージの部分も凄く大きいし、そっちの方で開発リソースが割り当てられていると、別のところで動いているところと取り合いになったりする可能性もあるわね。

岡本: そうですね。そういうバランス感覚ってすごい難しいので、バランスがもう少しエンジニアリングによっているプロダクトの方が自分に合ってるなっていう肌感覚だったので、Mulesoftは気持ちいい肌感覚だなっていう風に思ったということですね。

永野: 社内転職だったと思うんですけど、実際どうでした、プロセスを振り返って。

岡本: いや大変でしたね。12年前にセールスフォースに入った時って、正直今ほど難しい面接プロセスを持ってなくて、日本人の方と何回かちょろちょろっと面接して、今CTOでご健在ですけど、及川さんと面接した時に、及川さんが色んなことを話して終わるっていう面接が。

永野: これは今でも変わらないかもしれない。

岡本: 及川さんが興味のあることを僕に教えてくれて、ありがとうございますって言って面接が終わるってのがあって、じゃぁもういいよみたいな話になって、最後日本語が喋れないエグゼクティブとの面接があったんですけど、なんかそれも予定が合わないからもう内定でいいやみたいなノリでした。 それと比べて、Mulesoftの場合は、結構エンジニアリングとしてのコンサルタント面接なので、まず全部英語で、オーストラリアのプラクティスリードって呼ばれる技術とビジネス両方詳しい人間に、英語で2時間ぐらい根掘り葉掘り。APIから、非同期処理から、ビジネス的な設計から、インフラとかセキュリティとか、全部聞かれて、面接を終わった後に今度はサンプルのアプリケーション作るみたいなことをやらされたりだとか、あとトラブルシュートやったりだとか、そういう風な事をひと通りやって、正直言うと技術には自信がありましたけどマーケティングにいる時間が長かったので、現場経験少ないよねみたいな、ちょっとギャップあるよねみたいなことを言われつつも、何とかお願いしますよと言ってやっと入れたぐらいの感じです。

永野: じゃ質問形式っていうかクイズに答えるみたいなところも結構多かったってこと。

岡本: 結構多いですね。っていうか、めちゃめちゃやらされます、それ。

永野: 技術面接だからしょうがないのか。ここ知ってるのっていうのはちゃんとスクリーニングしたいよってことなんですよね。

岡本: そうですね。ホワイトボーディングとかもやらされますね。例えばAPI設計してみてみたいな。

永野: へぇ。それパーフェクトな正解を出さない限り受けられない感じなんですか。

岡本: 少なくともオーストラリアとか北米はパーフェクトレベルで答えないと結構きついっていう話は聞きました。ただ日本の場合はやっぱりまだそこまでAPIとインテグレーションとミドルウェアで全部できる人材ってなかなか見つからないと思うのでしかもその英語でやるっていうのは。

永野: ましてやそれ、お客さん側含めてやってる人ってどれだけいるんだよって気がしますよね。

岡本: やっぱり一年ぐらいビハインドがあるのでっていうところがあるかもしれないですね。

永野: なるほど。そのプロセスを踏んで。大体あれですか2-3週間とか、そんなぐらいで決まったんですか。

岡本: いや、2ヶ月くらい掛かったと思いますよ。

永野: 8週間か。結構きついね。

岡本: そうなんですよ、きついですよ。

永野: Mulesoftについてもう少し技術的な解説もお話しいただきたいと思うんですけど。Mulesoftってなんですかって聞かれた時にされてる30秒とか1分とかのピッチってどんな感じなんですか。

岡本: あんまり私ピッチしないので何とも言えないですけど、一言で言うと、API管理とESBがクラウド上にあるものですっていう感じですね、エンジニアにさっと説明するのであれば。もちろんビジネス的な説明だったらもっと根掘り葉掘りとか、カッコいい言葉でって感じなんでしょうけど。

永野: API資産管理っていうところと後もう一個なんでしたっけ。

岡本: APIマネジメントとESBです。

永野: サービスバス的に使われるELT/ETLやるときってちょっとオーディエンス違うのかなっていう気がするんですけど、一緒に両方できますよっていう話なんですか。

岡本: そうですね。一番の利点がそういったモダンなAPIマネジメントの世界。競合でもいくつか最近は元気なのあると思いますけども、そういった世界っていうのは、あくまでAPI管理しかないので、じゃ裏側のオーケストレーションどうすんだっていう風な問題であったりだとか、エンタープライズ持っていくとレガシーシステムとつなぎこみどうすんだとか、そういったところっていうのは結構壁がある状態なんですよね。それを一つの製品で、エンタープライズの世界にどんって入れると、例えばレガシーモダナイゼーションから、API主軸にしたマイクロサービスに変えていくみたいなところまでを一つの製品でできるというのがいいですね。

永野: なるほど。ユースケースとしてはマイクロサービスを推進したい人達っていうところが結構大きなイメージですか。

岡本: 一番刺さるのはやっぱそうですね。エンタープライズのお客さんでレガシィもそこそこありつつ、でも社内にもラピッドな開発するイニシアチブもありながら、それらを全体奇麗にまとめ上げていくにはどうしたらいいんだっていうのを抱えている人が一番刺さります。 逆に、例えばゴリゴリKubernetesとIstioだけで社内システムを作ってて、もうマイクロサービスは全部EnvoyのSidecarでやってます!みたいなところだったら、まあMulesoftを使わなくてもいいかもしれないですけど、世の中の企業ってもちろん歴史があるので、そう簡単にゴリゴリにエッジなエンジニアだけでは対処しきれない領域っていうのがあるので、その部分に刺さりやすいかなという気がします。

永野: なるほど。じゃあターゲットは大企業ってなるってことなんですかね。

岡本: そうですね。基本的には価格もそんなに安いもんでもないので。基本的にはやっぱりある程度の、従業員が多い必要はないですけども、システムがでかくないとバリューは出にくいかなって気がします。

永野: そっか。じゃああんまり当てはまらないなっていうのは、本当に単純にシステム2-3個繋げようみたいなところでコネクタ用途とか、もしくはもう完全に最先端でもうバリバリやっちゃってますよみたいなところだとかハマらないんですかね。

岡本: そうですね。もうそこらへんって最近のクラウドネイティブの流れって、Kubernetesってどのくらいのレベルから使うと便利なのとかっていうのは、あんまり小規模で使っても意味ないよねって話があるのと同じで、MulesoftもAPIをどんどんマイクロサービス化して再利用しようって考え方なので、それがマッチするレベルっていうのはある程度の企業規模とかシステムの規模になりますね。

永野: そうだよね。そういう感じになると、結構商談サイクルも長い感じのイメージをしてるよね。やっぱり日本だとインフラ部隊の人たちは多岐に渡っちゃうだろし、それで各システムがLOB毎に一対一で作られてるようなイメージが強いので、その商談をまとめきるっていうのは、結構営業力いるなって感じがしますけど。

岡本: いやそうすね。営業さんは大変そうですね。エンジニアの人だって分かってなかったりするような世界だったりするのに、それを非エンジニアの営業の方が、自信を持って「マイクロサービス!」って言わなきゃいけないって、なかなか勇気がいりますよね。

永野: 本当にね。コンサルファームとかでもバリバリITコンサルやってましたみたいな人が営業になるといいかもしれないけど。でもそういう人達が、今度はリレーションシップとかもお客さんに失礼のないようにやりながらなんて、考えてたらね、ホント人少ないよね。

岡本: そうですね。だからセールスフォースの子会社という位置付けになってますけども、いいところってセールスフォースの本体のチームっていうのは、やっぱりそのセールスフォースっていうぐらいなので、CRMちゃんと使って、営業力ってすごい強いじゃないですか。なので、セールフォースの営業の人達が、しっかりとお客さんとリレーションができていて、信頼とかを勝ち取れていたりとか、そういった状況の中にあって、じゃあMulesoftのチームっていうのは、そこに対してしっかりと技術で価値を提供するっていうコンビネーションが組めるっていうのは、もともとMulesoftにいた人達がどう考えてるかっていうのは私は聞いてないですけども、私が見る限りセールスフォースとMulesoftのコンビネーションっていうのは凄くよく機能してるんじゃないかなって、社内で見ると思います。

永野: なるほどね。Mulesoftについては別のところでお話ししようかなと思いますが、セールスフォースが、そもそもMulesoftだとかHerokuだとかLightning Platformだとかってあるじゃないですか、どういう風にお客さんに対して区分けメッセージ出してるのかなって、社内でも結構混沌としてるっていう感じがするんですけど、岡本さんなりにかみ砕くと、どういう風に思われています。

岡本: 難しいですよね。社内でも混沌としてるぐらいなので。個人的な見解としては、Lightning Platformっていうのは、物凄くカスタマイズ性の高いCRMっていうふうに理解した方が、理解は進むと思うですよ。もちろんCRM以外のシステムも作れるんですけども、CRMを中心としたローコードプラットフォームっていうのが、Lightning Platformですよね。だから当然何でも作れるって、作ろうと思えば作れるですけども、何に価値が出るかっていうと顧客管理周りの、いわゆるSoR (System of Record)系を作る。Herokuっていうのは純粋なaPaaS、Application Platform as a Serviceなので、ローコードで作れないようなシステムってのを取り込んでいくというとこですよね。Muleは、何かサービスを作るっていうようなものじゃなくて、数あるサービスをいかに簡単に連携するかっていう、基本はiPaaSの領域になるので、そういった意味ではきれいに区分けはできているのかなというふうに私は思いますけども。どうしてもやっぱ全員プラットフォームって名乗るじゃないですか。

永野: うん、そうなんだよね。

岡本: そこが、ローコードプラットフォームなのか、aPaaSなのか、iPaaSなのかっていうのを理解するというの、お客さんにちゃんと浸透させなきゃいけないですけども、そこまで世の中がなってないので、混乱しちゃってるって風な感じなんじゃないかなと思います。

永野: 僕も最近どうやったら一番うまく伝わるのかなって思った時に、データがどこに存在してるかだとか、そういうイメージで描いていくべきなのかなって最近思いだしてはいるんですよ。だからMulesoftって、データサービスではない訳じゃないですか。

岡本: データを持たないですね一切。まあちょっと持ちますけどね、MQとか。

永野: だから、結局データとデータを繋げていくみたいなイメージで使われるべきものだと思うし、それのやってるものを管理してきますよっていうイメージがあって。だからよくLightning Platformに対してデータを持ってこようと思った時に、Mulesoft使えばいいじゃないですかって言っても、その元のデータってどこにあるのっていうときに、自分で持ってないですなんだったら、データサービス持ってないのでHeroku使うしかないじゃないですかっていうことになるので。データをどこに持って、どこのデータをどう活用するかみたいな考え方から、利用用途に応じて使い分けみたいなイメージなのかなとあったんですけど、これも分かりにくいのかな。

岡本: そうですね、色んな多分アプローチはあると思うんですね。Mulesoft的なアプローチだと、データがオンプレミスの中にあったとしても、それをAPIで公開すればSalesforceと繋がる訳で。データ中心型のアプローチなのか、プロセス中心型のアプローチなのかによっても変わってきますし、そのデータを触る時のトランザクションとかデータサイズだったりとかでも変わってきますし。簡単にそこだけで分けられないかなという気はしますけども、その三つの利点だったりだとか欠点だったりとか、使用用途をうまく理解した上で、きちんと設計する必要はあるんじゃないかなっていうのは間違いないですね。

永野: うん。なるほどね。僕がデータにこだわってるのは、どうしてもセールスフォースの、根本というか、一番のコアって、お客さんのデータを扱っているっていうところなのかなって思ったんですよね。セールスフォースってデータカンパニーですっていうのが僕の中で一番通りが良いですよ。それをどういう風にmanipulate(扱う)するのかとか、どういう風に活用できるのか、マネタイズするのかみたいなところで色んなもの出してんだよねっていうときに、繋げなきゃいけない用途が出てきたのでMulesoftも買収したっていう話かなと思ったんですよね。

岡本: セールスフォースの文脈だと、CRM、顧客回りのデータっていうのが、ファーストレベルなデータでしょうけど、ただこれがERPとかの観点でいうと、どっちかというとERP側の金系だったりとか、そっちの方がプライオリティが高くてっていう話だろうし、システムによってとか業態業種によって、どこのデータが一番自分にとって大事なのかって変わってくると思うんですよね。セールスフォースの人達は、やっぱりSalesforceにデータを寄せたがるでしょうし、ERPみたいなものだったら全部ERPの方に持ってきた方がって考えるでしょうし。Mulesoftはどっちに寄せてもいいけども、円滑にデータをお互いやり取りするためにはどういう風に何ができるのかってとこにだけフォーカスしてるって感じですね。あんまりデータの寄せる先がどっちかとか考えてないし、SAPの方に寄せるべきなんだったら別にそういうふうに作ればいいしっていう、あんまりベンダーの理屈でアーキテクチャが曲がらないっていうのが、インテグレーションのコンサルタントやっていて一番のストレスが少ないところかなって気がします。

永野: まあそうだよね。Mulesoft買収したことによって、いろんなデータと繋げることができるようになった訳だから、結局今までだとSalesforceにデータが入ってない限りお客さんのためにならないみたいな感じのピッチだったけど。

岡本: そんな文脈だったのが、そうじゃなくなってきて。場合によっては別にデータはどこにあってもいいじゃないかっていう。特にSalesforceっていうのは、もの凄く生産性の高いUIの構築ツールだと思うんですよ。エンタープライズ領域でのいわゆるローコードプラットフォームだと思うんですけど、そういった使い方をしても、今後いいじゃないかなと思うんですよね。Salesforceにデータが入ってないけど、APIで取ってきて、Salesforceのローコードプラットフォームでさっと作ってしまうみたいな。それでいろんな業務アプリケーションがUI付きでどんどんできてしまうって未来は凄いカッコいいと思うんですけどね。

永野: そうだよね。あとはそれを日本市場の中でバンバンヤれる、そのカーブがどういうふうになっていうところだろうね。まだまだそういう風な感じで、DXってお客さんも含めて言ってるけれど、じゃどうなんだよって言った時、なかなか現実と、向かう方向と、全部一本化してできてる会社さんもそんなにもいないだろうし。そこでどうHELPできるのかって考えると、なかなか難しいものもあるんだなって気もしますけどね。

岡本: そうですね。こんなご時世でも、絶対に会社から行かないと、会社からじゃないとデータ見れないですって言ってるお客さんがいますしね。

永野: そう厳しいよね。今、本当にNew Normalみたいな言い方で、録音させていただいてるのは4月2日になるんですけど。小池知事からロックダウンみたいな言葉が出てくるようになっていたりだとか、緊急で対策をしなきゃいけないような宣言をされちゃうのかどうかみたいなときになってる訳ですが、今Mulesoftのチームって影響出てたりするんですか。

岡本: いや出てますね。まずそもそも、コンサルタントチームはお客さん先に行くなって言われてます。もう一か月前ぐらいから出てて、CEOの承認取れって言われて。MulesoftのCEOのサイモンの承認を取らないと、客先行っちゃダメっていうふうに言われてます。

永野: グローバルに出てたんだ。

岡本: グローバルで。だからもう行く方が大変なんですよ。承認とってとか。お客さんに一筆書いてもらえみたいな話になってて。さすがにそれ無理だろっていうくらい、徹底してます。こういうふうに徹底されちゃえば、やり方は如何様にもあるので。Slackとか(Microsfot) Teamsが大活躍しているという感じですね。

永野: ええ。まあ多分開発チームとかはね、そもそもリモートだしっていうところはあるだろうけど、やっぱりカスタマフェーシングでお客さんとお話をさせていただいてたみたいなところだと、なかなかそれでハードル上がっちゃいますね。

岡本: いや営業さんは大変みたいですねやっぱり。

永野: 小山さん、大変ですね。

岡本: これを乗り越えていかないといけないので、やっぱり我々から変わっていかないと、いつまでたっても変わらないと思うので。

永野: 今日もね、セールスフォースジャパンとしてプレスリリース出させて貰ってる。一週間閉鎖ですっていうに。

岡本: オフィスシャットダウンっていうふうに。

永野: 出してたね。

岡本: 個人的な想いで言うと、基本的に営業さんはリモートで全部ミーティングできるようになればいいのになと思うんですけど。これは私が営業知らないからなんだと思うんですけど、なかなかやっぱり皆さん、訪問してますよね。

永野: なかなか今までやってたプラクティスを変えるっていうのはね、ハードル高いからね。なかなか難しいと思いますよ。僕はもう言われる前から家でずっと仕事でしたけど。

岡本: これを変えるチャンスなのかなっていう風なのが、勿論コロナがない方が全然いいですけども、色んなネガティブな要素の中でポジティブに捉える要素があるならば、これはそういった我々が変わるチャンスなんだっていう捉えてやるべきなのかなって気がしますけどね。

永野: そうですね。そろそろ30分以上経っているので、締めようかなと思ってるんですけど。技術的なところがあんまり触れられないまま終わっちゃうのもアレだったと思うので、Mulesoftのサービスについてもう少し触れとこかなと思うんですけど、購入する形態としてはクラウドサービスみたいなのもあるでしたっけ。

岡本: ありますよ、もちろん。基本的にはクラウドで管理するのが前提になっていて。インテグレーションのランタイムとかも、例えばIFTTTとか、Zapierとか、Integromatとかみたいに、ブラウザから全部ささってやって、インテグレーションを作って動かすのも当然できるって感じですね。

永野: お客さん側のパブリッククラウドなりオンプレなりっていうオプションもあるよ、みたいなイメージですかね。

岡本: そうですね。そっちでも入れて、同じようにクラウドから管理できるって感じです。

永野: なるほど。それを実際に使う方達っていうのは、IT企業の、IT組織の人たちみたいなイメージですかね。

岡本: そうですね。基本的にはITの人達とか、そのデジタルトランスフォーメーションとか考えている人たちが使うっていう。少なくともそれを戦略として捉えるっていうイメージです。

永野: なるほど。そういうのをもっとこう深く知りたいなって思ったら、お客さん的にはどういう風なオプションがあるんですか。

岡本: そうですね。取り敢えずセールスフォースの担当に聞いてもらえれば。セールスフォースの営業からMulesoftの営業に繋がるっていうのは聞いてますけど。

永野: Webinarやってたりするんですか。

岡本: やろうとはしてるみたいなんですけど、まだまだこれからっていう感じですね。一応英語のものに文字入れしたものは、日本語ウェブサイトにはあるんですけども、日本人に説明してもらいたいとか、話聞きたいっていうような場合には、MulesoftのウェブサイトからContact Meとかで、ちょっと教えろっていう風なこともやれると思いますけれども。ただ、一点。凄くテクノロジーセントリックなプロダクトなんですけども、売り方は結構ビジネスセントリックで、例えばAPI化していくってイニシアチブって本当にあって、それに対してエグゼクティブが納得していて予算があって、どれぐらいのスケジュールでどんなKPIですかっていうところをまず最初に必ず聞きます。逆にそれがない状態で、エンタープライズシステムのAPI化だとか、デジタルトランスフォーメーションなんて、テクノロジーだけでは絶対にうまくいかないので。テクノロジーがなくても絶対にうまく行かないですけど。なんで、そこら辺はテクノロジードリブンの会社ですけども、売り方はセールスプロセスはちゃんとビジネスセントリックになってるんで。そういったところから。

永野: 開発者の方とか技術者の方達とかっていうのが調べようと思うと結構そのウェブとかのリソースはあるよぐらいで。

岡本: 調べるようと思ったらそうですね。30日トライアルで誰でもさわれるようになってますし。オンプレミスのランタイムに何か入れてとか、そこでクラウドとオンプレミスで繋いでみてとかっていうのも全部試せるようになってるので、エンジニアは自由に触ることができるようになってますね。

永野: そういうのを、例えばデブサミ(Developer Summit)とか、そういうようなところで発表してるイニシアチブ、あんまないっていう感じなんですよね。

岡本: そうですね。マーケティング、私はセールスフォースの時エバンジェリストでしたけど、そういったエバンジェリストみたいなロールだとか、プロダクトマーケティングっていうところが日本にないので、発信自体が各担当者の努力に紐づくみたいな感じなので。

永野: じゃあそれはこれからって感じですね。やっぱりコロナの影響もあって、ウェビナーをやるとね、かなり集客もいいし、それから実際にアテンドしていただく方もパーセンテージがいいっていうふうに言われてたんで、どんどんWebinarやるべきなのかな、なんて思ったりしてたんですけどね。

岡本: そうすね。やってもらいたいところなんですけど、やっぱりみんな既存の案件で忙しいので。私もコンサルタントになったので、基本的に既存の案件で。このポッドキャストもそんなことやってる暇あったらみたいなことを言われかねない。

永野: こっそりこっそり。

岡本: そこはしっかりお客様第一で動かなきゃいけないところなので。それぐらいビジネスは好調で、色んなところから引き合いが来てるって状態です。このコロナのわりには引き合いが多いかなっていう感じですね。

永野: まだMulesoft入って一年もたってないような状況で、もうMulesoft LOVEになってるっていうのは、継続できてるっていうのは、やっぱりいいプロダクトなんだろうなと思うし。それから後ろにいる人達もいい人達なんだろうなって想像はしますので。Mulesoft、これからも期待したいなと思うので、なんかまた機会あったらアップデートとかもお願いしたいなと思うんで、よろしくお願いします。

岡本: ぜひぜひ、よろしくお願いします。すいません。なんかちょっとあのふわっとした話しかしてませんけど。

永野: ふわっとしたCode[ish]JPですからいいですよ。はいじゃあどうもありがとうございました。

岡本: はい、ありがとうございます。

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